子宮卵管造影検査について
子宮卵管造影検査について、プリュームレディースクリニックの松本由紀子院長に教えていただきました。
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プリュームレディースクリニックは、神戸市東灘区岡本に女性医師による不妊治療クリニックとして2021年2月に開業しました。
開院してすぐの2021年5月には、朝日放送の報道番組のキャストで「保険診療でできる不妊治療」として特集されていました。
不妊治療は、非常にデリケートな診療科であり、診療を担当する医師が女性医師であることは、患者の皆さんにとって非常にありがたい事だと思います。
体外受精を行わず、現在でも健康保険の適用となる不妊治療手術、FT(卵管鏡下卵管形成術)が施術できる、日本でも数少ないのクリニックです。
[院長:松本 由紀子医師]
2022年4月、ついに体外受精などの特定不妊治療が健康保険の適用拡大となる予定です。
保険診療とは、原因に対して有効な治療を行うことです。
不妊治療でも不妊の原因をしっかりと検査して、診断を行うことが保険適用への重要なポイントになると考えられ、中でも卵管の検査は非常に重要な位置づけになるでしょう。
子宮と卵管の状態をレントゲンで確認する、子宮卵管造影検査について見てみましょう。
体外受精が保険適用になるために
菅総理の「不妊治療に保険適用を」といった大号令のもと、2022年4月~体外受精や顕微授精などの高度不妊治療に保険が適用されるべく整備が進められています。
保険適用となるためには、誰でも体外受精を行えるのではなく、検査や状況(所見?)から「治療が必要」だと判断される状況にならなければなりません。
具体的な事は、2021年12月ごろに発表される予定ですが、体外受精が保険適用となるために、女性の卵管の状態を確認することが必須になるのではないかと思います。
6月23日に公開された「生殖医療ガイドライン原案」の、CQ(クリニカルクエスチョン)4番は「直接体外受精・顕微授精に進んでよい場合は?」というもので、その回答には「両側卵管機能を喪失している不妊症例の場合、体外受精を行う」と書かれています。
つまり、卵管の状態を検査しないと体外受精の適用とはならない可能性があります。
卵管性不妊は、不妊原因(女性因子)の約 25~35%が卵管因子といわれており、不妊症の原因として最も数が多く、妊娠成立のためには最も重要な器官のひとつです。
卵管の役割は、排卵した卵子を拾い(ピックアップ)、子宮から入ってきた精子と出会う通り道となる事です。
卵管は非常に細く、様々な原因で狭くなっている、詰まってしまうということがあります。
そうすると、精子と卵子が出会うことが出来なくなり、妊娠できないということになります。
卵管の状態を知るには卵管造影検査
卵管が通っているか?狭くなっていないか?詰まっていないか?と、卵管の状態を確認する検査が、「子宮卵管造影検査」です。
子宮から卵管に向かって、「造影剤」をゆっくりと流しいれ、造影剤が卵管に広がっていっているかどうかを、レントゲンで撮影します。
造影剤が子宮を通ることで、子宮内腔の形も確認することが出来ます。
実際に卵管造影検査の撮影動画がありますので、それを見ていただければと思います。
正常な方の場合
動画の17秒あたり、子宮の中に造影剤が溜まっていく様子が見られます。
その後うっすらと、両側の卵管が見えてきます。
最後には、はっきりと両側の卵管が見えています。
片側だけ閉塞して(詰まって)いる場合
正常例と同じように子宮の形が見えてきます。
画像の左側に右の卵管(仰向けで撮影するので、左右が逆になります)が見えてきます。
右の卵管は、はっきりと見えますが、反対側は卵管が見えません。
両側が閉塞して(詰まって)いる場合
子宮の形が見えてきます。
子宮ははっきりと見えていますが、卵管は見ることが出来ません。
いかがでしょうか、このように卵管造影で患者の皆さんの卵管の状態を確認しています。
実際の検査では、卵管が映るまでの時間や患者さん自身の痛み(狭かったり、詰まっていると痛みも大きくなる傾向にあります)なども見ながら診断を行い、必要に応じてFT(卵管鏡下卵管形成術)を行います。
卵管造影検査で妊娠しやすくなる?
卵管に造影剤を押し流すことで、卵管の通りや機能が改善され、妊娠しやすくなるとのデータがあります。
特に検査をした周期は卵管が細い方も一時的に通りがよくなり、妊娠しやすいゴールデンタイムなどと言われています。
ただし、造影剤へのアレルギーがある方や、甲状腺疾患がある方は検査を受けられないことがあります。
その場合は、生理食塩水を使った「通水検査」などで卵管の状態を確認することもあります。
プリュームレディースクリニック院長:松本由紀子(産婦人科専門医・生殖医療専門医・臨床遺伝専門医)