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不妊治療と生命保険(医療保険)

 

不妊治療に生命保険って使えるの?

生命保険会社から販売されている不妊治療向けの保険があります。

日本生命の『シュシュ』という保険が、2016年10月に初めて、出産時の給付や特定不妊治療の保障等をカバーする商品として発売されました。

ただし、メインの保障は『がん・急性心筋梗塞・脳卒中』といった、いわゆる三大疾病となっており、不妊治療の保障はおまけのようなものです。

体外受精を行う場合の採卵と胚移植に対して給付金が出る仕組みで、採卵か胚移植を行うたびに5万円(7回目から10万円)を最大12回まで受け取れるものです。

ただ、加入後2年間は不妊治療での給付金は受け取れませんので、不妊治療を具体的に考えている方には間に合わない可能性があります。

体外受精や顕微授精では、助成金も受け取れますが、追加で生命保険からもお金が出ると安心ですね。

ただ、掛け金を考えないと、出費が大変なことになってしまいます。

特に、不妊治療がうまくいった場合は、出産→子育てと、今まで以上の出費がかさみます。

義務教育の間は児童手当などを受け取ることが出来ますが、高校、大学と進学するにつれて、部活動や塾、一人暮らしの家賃など様々な費用が必要になりますので、生命保険はバランスを考えて選ぶことが大切です。

 

【重要】保険加入は治療を始める前に

では、普通の医療保険はどうなっているのでしょうか。

生命保険会社が販売している医療保険は、『入院と手術』を保障の対象としています。

このときの『入院』や『手術』とは、医師の判断の元で必要だとされた入院や手術ですので、例えば人間ドックを入院して隅々まで調べる場合などでは対象になりません。

また、顔のほくろが気になるので手術で取ってもらう場合や、豊胸手術のような美容整形手術なども保障の対象にはなりません。

不妊治療の場合、例えばポリープや子宮筋腫が見つかったため、それを切除する手術は『手術給付金』の対象になる可能性があります。

また、FTと言われる卵管が『詰まって(閉塞)』いたり、『細くなって、狭くなって(狭窄)』いたりする場合に行う手術は給付金の対象になります。

ただし、不妊治療を始めてしまった後では保障の対象から外れてしまいますので、不妊治療でクリニックを受診する前にご自身の生命保険を確認しておくのが良いでしょう。

国民共済やJA共済、会社で加入している団体保険なども、給付の対象になる可能性があります。

せっかく、保険料を支払っているのですから、キチンと確認しておきましょう。

また、治療がうまくいって妊娠した後も、例えば妊娠高血圧で入院する場合、帝王切開で出産する場合、会陰裂傷で縫合する場合など、妊娠・出産で医療保険の給付を受ける可能性は結構あります。

不妊治療を考えている方は、先に医療保険も検討しておいても良いかもしれません。

 

採卵や体外受精が給付になるかは…わかりません

ただ、体外受精や顕微授精が健康保険の適用となった場合、民間の生命保険の給付金の対象になるのかは、現段階では不明です。

個人的には給付の対象になったら良いとは思うのですが、今の保険料ではカバーしきれなくなるのではないかと思われます。

また、健康保険になると一ヶ月に掛かる医療費の上限は8万円程度になりますが、医療保険の給付金がそれを上回る場合、治療をするほど儲かってしまうことになり、せっかくの仕組みを悪用される可能性もあります。

健康保険だけでなく、民間の生命保険(医療保険)も今後が気になりますね。

民間の医療保険に加入した時期によって、給付の対象となる可能性があります。

 

不妊治療中は保険に加入できなくなる?

民間の生命保険に加入する場合、健康状態の「告知」をする必要があります。

この「告知」は、ありのまま記入することが求められ、決して嘘をついたりしてはいけません。

不妊治療のために婦人科を受診している場合、その旨を告知する義務があり、出来るだけ詳細に書いたほうが査定は良くなります。

単純な死亡保障であれば、不妊治療が原因で保険に入れない事は無い場合がほとんどだと思います、不妊治療を受けていても死亡率は変わらないためです。

ただ、医療保険の場合は加入できても「部位不担保」といって、子宮や卵管に関する病気は一定の期間(最大5年)は保障の対象から外れますといった条件が付く可能性が高いです。

理由は、「【重要】保険加入は治療を始める前に」で書いた通り、ポリープ手術やFT(卵管鏡下卵管形成術)に対して手術給付金の支払い対象となっているからです。

保険によって加入できるか、保障の範囲がどうなるか、変わってきますので保険会社の担当者に聞いてみましょう。

※保険会社によって評価の仕方は変わりますし、申し込んだ時期によっても査定基準は変わります。

国内の大手保険会社で保険に加入していると、10年や15年で保険料が上がる「更新」を迎える場合が多いですが、不妊治療を受けていた場合は保障内容の見直しは慎重に行ってください。

保障内容の見直しで、今までの保険を解約して新しい保険に入りなおす場合には告知が必要になります。

 

FT(卵管鏡下卵管形成術)とは?

 

レントゲン(子宮卵管造影)により精子と卵子が出会う唯一の通り道である『卵管』の状態を検査して、卵管が狭くなっている(狭窄)や、卵管が詰まっている(閉塞)と診断された場合、他に不妊原因がなければFT(卵管鏡下卵管形成術)の適用となります。

ただ、手術を行える医療機関が非常に少なく、医療機器メーカーによると全国でも90箇所しか無いようです。

FT(卵管鏡下卵管形成術)は、卵管鏡という直径1㎜程度の非常に細いカメラで卵管の中を観ながら行う手術です。

カメラの周りにはバルーンがついていて、子宮側からゆっくりと卵管の中を進めていき、狭くなったり詰まってしまった場所を広げていきます。

狭くなった卵管を、物理的に広げる手術ですが、効果は半年から1年程度だと言われているようです。

 

手術の所要時間

手術時間は15分~20分程度、日帰り手術になります。

 

麻酔

通常は麻酔を使用して行います、術後も早期に帰宅が可能です。

 

副作用

麻酔薬が合わないとアレルギーや気分不良が生じる可能性があります。

術中の合併症としては時に卵管穿孔を起こすことがありますが、通常は経過観察のみで自然回復します。

 

手術時期

出血量が少なくなった月経開始5日目頃から排卵までの時期に行います。

 

費用

健康保険が適用される手術で、自分で手続きする必要がありますが、『高額療養費制度』の申請を行うことで、自己負担額を軽減することが可能です。

不妊治療を始める前に民間の生命保険会社で医療保険に加入していたら、FT(卵管鏡下卵管形成術)は多くの場合『手術給付金』の対象となりますので、ご自身の生命保険、会社の団体保険、共済保険などに確認されてみると良いでしょう。

 

 

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