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不妊治療と生活習慣②

 

私って不妊なのかな…でも何から始めればいいんだろう?」「不妊治療を受けているけど他にできることがあれば取り組みたいけど…」とお悩みではありませんか?

妊娠率を高めるためにご自身で取り組めることがあるかもしれません。

このページは、実際に不妊治療クリニックで働く、現役の看護師からのアドバイスです。

 

健やかな妊娠、出産を迎えるために大きなポイントとなるのが、食事、運動などの生活習慣です。

妊娠のため、そしてベストな状態で赤ちゃんを育み出産するために、ご自身の生活習慣を見直してみませんか?

不妊治療と生活習慣について、前回の続きです。

 

タバコ・アルコール

タバコには、血流を悪くしたり、血管の老化を早める「ニコチン」、酸素運搬を妨げる「一酸化炭素」のほか、約40種類の発ガン物質が含まれています。タバコは男女ともに悪影響を及ぼします。

女性にとっては、卵巣に十分な血液が送られなくなったり、ホルモン値の異常を招き、卵巣機能の衰えにつながります。

男性にとっては精子の数の減少、精子運動率の低下や受精能力の低下を招きます。

また、妊娠後の喫煙は胎児、出産後は乳児の発育に影響を与えます。

これらのことから妊娠を望むなら禁煙することは必須と言えます。

アルコール摂取は、男女共に体外受精へのリスク因子となることが報告されています。

マウスによる研究では、アルコールによって卵子に異常を引き起こし、更にその卵子で受精しても、着床に悪影響が出たり妊娠初期において高確率で流産するとされています。しかし、これらはあくまでもマウスにおける結果ですので、今後さらなる研究が必要であるといえます。

 

カフェイン

カフェインはコーヒーや紅茶などに多く含まれている成分で、眠気覚ましや利尿作用などの効果があります。

過剰なカフェインの摂取は妊娠に悪影響を及ぼす可能性がありますが、適量の摂取であれば不妊治療に対してそれほど影響を与えないと考えられています。

カナダ保健省(HC)においても、2010年に1日あたりのカフェイン摂取量として、健康な成人で400 mg(コーヒーをマグカップで約3杯)まで、カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は300mg(コーヒーをマグカップで約2杯)までとされています。

カフェインといえばコーヒーや紅茶を思い浮かべるかもしれませんが、一部の清涼飲料水やエナジードリンクにもカフェインが多く含まれているものがあるため注意が必要です。

 

ストレス

不妊治療中は何かとストレスを感じることも多くなるでしょう。体外受精などの高度不妊治療を受ける女性を対象にした調査では、治療初期の段階にもかかわらず、軽度以上の抑うつ症状ありの割合が高く、同時に、不安の高まりやQOLの低下が見られました。

(参照:国立成育医療研究センタープレスリリース

しかし、ストレスによりステロイドホルモンが分泌されると、妊娠率が下がるというデータがあり(参考;産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK/宋美玄/内外出版社)、悪循環となってしまう恐れがあります。しかし、実はこれまでの報告で、感情ストレスが不妊原因となることや、不妊治療の成績を低下する明確な根拠は見つかっていないようです。

結果的に、生物学的に論理的な根拠は明らかになってはいませんが、不妊によって感情ストレスが起こることは間違いないでしょう。

ストレスを溜めない生活を心がけることは健康なからだづくりにとっては大切といえます。普段から自分がどのような時にリラックスできるか、様々なリラックス法を試して、自分に合う方法を見つけてみてはいかがでしょうか?

 

家族歴や病歴のチェック

妊娠した場合に問題となる疾患について除外または診断しておくことも重要です。今現在持病がある場合や今までに大きな病気や手術の経験がある場合は、それが不妊治療に影響することもあります。

また、自分自身には無くてもご家族に持病がある場合なども知っておくと良いこともあります。

例えば、血縁のある家族に糖尿病や高血圧などの持病をお持ちの方は注意が必要です。

糖尿病や高血圧は遺伝的にその素質を持っていることがあり、妊娠を機にそれらが影響し合併症を発症することがあります。そのため、不妊治療中から家族の病歴をあらかじめ知っておくことで、注意深く経過を観察していくことができます。

感染症歴やワクチン接種歴も確認しておくと良いでしょう。

性器クラミジア感染症は不妊症や子宮外妊娠の原因にもなりうると言われています。

クラミジアに感染すると、男性は、主に尿道炎(膿尿や排尿痛などの症状)を起こします。

女性は子宮頸管に感染しますが、おりものが少し増加する以外は症状が出ないこともあります。

子宮頸管に感染したクラミジアは、さらにさかのぼると子宮の中で炎症を起こし、卵管まで到着した場合は卵管炎を起こします。

卵管で炎症を起こすと、卵管の通りが悪くなったり完全に詰まってしまう(卵管癒着)原因となります。

ほとんどの場合、自覚症状がなく、抗原検査や抗体検査によって初めて感染が分かることが多いです。

心当たりがあれば検査を受けたり、未治療の場合は治療、既に治療済みの場合もそれによる影響が生じていないかチェックを受けておきましょう。

妊娠中に風疹、麻疹(はしか)、水痘(水疱瘡)、ムンプス(おたふくかぜ)は妊娠中にかかると流産や早産のリスクが増加したり赤ちゃんに障害が起こる危険性があります。

例えば風疹は、妊娠初期に感染すると、胎児が難聴や先天性心疾患、白内障を三大症状とする「先天性風疹症候群」になる危険性があります。

ワクチンで予防できる病気は予防接種を受けることで防ぐことができます。

麻疹、風疹、水痘、ムンプスはワクチンがありますが、生ワクチンとなります。

厚生労働省によると、妊娠すると免疫状態が低下するため妊娠中の生ワクチンの接種は推奨されていません。

また、生ワクチン接種後2か月は妊娠を避けるよう記されています。

できれば妊娠前に抗体をチェックし、抗体価が低い場合はワクチン接種をお勧めします。

 

歯科検診

また、歯の健康も大事なポイントです。歯周病は流早産のリスクを高めるとされています。

妊娠中に麻酔を使用するような歯科治療は避けるとする歯科医は多く、つわりや妊娠経過に伴いお腹が大きくなることにより、治療を受けづらくなります。これらのことから、妊娠前に治療しておくことや定期的な歯科検診が推奨されています。

 

自分のからだが今どのような状態なのかを知り、普段から健康的な生活習慣を意識してからだづくりに取り組むことで、妊娠に備えましょう

 

 

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